ベトナムのEC市場のお話

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2020年に1兆円市場へ成長するベトナムEC市場

前回のエントリー「Amazonがベトナム1兆円市場を今狙い始めた理由」で2020年に1兆円市場になると予測されるベトナムのECマーケットでプレイヤーの動きが活発化しているという話をしましたが、直近のベトナムE−コマースマーケットのお話が薄かったなと感じましたので、改めて足もとの市場環境についてまとめておきます。


ベトナム基本情報

まずはベトナムの概要的な情報です。

・人口9200万人
・4600万人がインターネットに接続(スマホからが多い)
・平均年齢30歳
・E-コマース市場規模:約5000億円(推計)
・2852万人がE-コマース利用経験あり
・2015年インターネット推定購入額160ドル(年間)
・45億6千万320万ドル(約5014億円→2020年約1兆円)

こんな感じです。どうでしょう?想像よりインターネット利用者は多いような感じはしましたか? 人口のほぼ50%がインターネットにすでに接続しており、年々接続人数は増加傾向にあります。平均年齢が30歳というのもあり、便利なものなら新しいものをどんどん使おうという意識がありますので、最終は8割9割ラインまで数年で到達するんじゃないかと僕は考えています。ベトナムのE-コマースの市場規模はすでに5000億円あります。ここから2年で倍になるという日経新聞の予測はすごいですが、経済成長率が年間6%を超える国ですから十分E-コマースの市場規模が伸びる可能性はあります。

そして、インターネットで買い物経験がある人は約3000万人います。インターネット利用者の実に6割の人たちが利用経験がありと答えています。ただ、利用金額としては年間ひとりあたり160ドル(17400円くらい)とそこまで高くありません。前述したネット通販での便利さを利用する反面でベトナムならではの消費者意識が金額の上値を抑えています。

ベトナムならではの事情

なぜ、1年の利用額が160ドルだけなのかというと「ベトナムの人たちはリアル、ネット問わず売りてを信用していないからです。」このあたりは日本に住んでいる方からすると想像しにくいかもしれませんが。ベトナムの商店街へ行くとその理由はすぐにわかります。
・グッチ
・シャネル
・CK
世界の高級ブランドの商品が二束三文の価格で叩き売られています。フェイク商品です。
フェイクと言っても、フェイク織り込み済みの価格の場合が多いので(シャネルのバッグが2000円!みたいなw)購入する側もフェイクとわかって購入しているフシはあるのですが、こういう商慣習があるので、「本当のモノ」、「高額商材」を購入する時は人々はかなり警戒して購入商品がホンモノなのかをチェックします。

そのため、ネット上で購入する商品はいくら便利でも定額商品(せいぜい数千円のもの)にとどまり、例えば数万円する浄水器などは必ず、実店舗へ足を運びメーカー、商品、ホンモノか、などなどをチェックして問題ないと判断してやっと購入します。これがベトナムE-コマースの最大の課題と言っていいでしょう。

もちろん、日本でも高額商品をインターネットで購入することはそこまで多くないですが、ベトナムのE-コマース市場の成長にはひとりあたりの購入金額を押し上げられるかどうかがカギとなってきます。Amazonなど、世界の大手ECが参入をすることや、TiKiなどローカル通販サイトでは「商品がホンモノだったか」
をチェックするオペレーションができてきたりしているので、このあたりは改善していくことに期待したいですね。

CtoC市場

先日、日本のCtoCの雄メルカリがマザーズに上場して話題になりました。メルカリは個人間の売買をスマホアプリでできるサービスでヤフオクなどと比べると後発にもかかわらず、アプリは7000万ダウンロードを達成して、売上は122億円あります。下記、メルカリの2016年度の公報から数字を引っ張ってきました。

売上高:122億5,600万円

営業利益:32億8,600万円

経常利益:32億6,200万円

当期利益:30億1,100万円

利益剰余金:5億800万円

日本のみならず、アメリカでも事業展開をしているメルカリの事例はCtoC市場の盛り上がりを明示しています。

ベトナムでも実はCtoCプラットフォームはすでに存在します。それが、Cho TOT 月間ビジターは1500万人いて、サイト内では活発に売買がされているようです。ベトナムでは一定の知名度があり、メルカリと比べると少ないですがすでにアプリは100万ダウンロードを達成しました。前述した売り手への不信感が蔓延するベトナム市場でCtoC市場がそこそこ盛り上がりはじめているのは意外でしたが、むしろ「売り手の顔や情報がわかる」という意味でCtoCはベトナムでは大きく伸びる可能性があるかもしれないと僕自身、考えを転換しなければいけないな。と反省しました。

というのも。定量的なデータこそありませんが、ベトナムではFacebook上で商品を販売する個人が結構な数いるのです。(これはベトナムで実際にFBを使ってもらえればわかります)。

評価経済という言葉が話題になりましたが、ベトナムではすでに個人がFBというプラットフォームでエンハンスされ、評価経済を形成して商品売買をしているんです。FBアカウントはオープンですからいい取引が多ければいい評価が着きますし、仮に偽物や不適格な価格で商品を販売すれば、ベトナム国内で5,500万人が利用するマスメディアと化しているFacebookで悪評が広がり以後商売ができなくなるでしょう。売り方も、写真やテキストはもちろんですが、動画を使って商品を魅力的にみせる人が現れたりしたりと十人十色いろいろな方法を駆使して商品を販売しています。

このあたりの金額はE-コマースの市場規模5000億円には含まれていませんので、ベトナム市場にはポテンシャルしか感じませんね。


今日は、ベトナムのEC市場の話をご紹介しました!